「こりゃ、美味いな! お酒ってこんなに美味しいもんなんだ~ふふふ、新発見! 雪菜、驚きだ~」
うふふふ、とグラスに注いだワインをまた口にした雪菜は、いい気分~と鼻歌まで出てくる。ふにゃふにゃと柔らかくなった笑顔は蕩けきったチョコレートのように甘く、彼女の本心が剥き出しになってた。
「あるべると~もっとちょうだい! これ美味しいもん、気に入っちゃった~」
テーブルに突っ伏すような態勢ながら、雪菜はグラスを私へ向ける。はいはい、と躊躇いなく私は彼女のグラスへワインを継ぎ足した。ついでにカメラのセットも忘れずに。
「ふふ~美味しい~あ~·し·あ·わ·せ·にゃ~」
何を思ったか、雪菜は私の隣へやって来るとそのまま擦り寄ってくる。そのまま抱きつくと、顔を押し付けてきた。
「ほにゃ~あったか~い! あるべるとはあったかいねえ」
「一応、生きてますから」
「きゃはは!そりゃそうだねえ」
どうやら雪菜は酔うと笑い上戸になるタイプらしい。仕方ないか、と好きにさせる。
「あたしさ~あったかいのだ~い好き。だけど……誰もあったかくしてくれないんだぁ……やっぱりあたしが悪いのかなあ。あたしがバカで不器用でブスだから……」
あ、これはまずいと思った瞬間、腕にじわりとあたたかい液体が染みてきた。今まで気丈に振る舞った反動で、理性を取り払った途端に決壊したんだろう。どれだけ無理をしてきたのかと想像しただけで切なくなり、思わず彼女を抱きしめた。



