「じゃ~ん! どうだ。ごちそうだろ」
両手を大きく広げた雪菜が、得意げに胸を反らす。
折りたたみテーブルの上に並んだメニューは、サーモンのムニエル、シーフードと玉ねぎのマリネ、豆乳とコーンのスープ、雑穀のパン。
いつも摂っている食事より内容はやや劣るが、雪菜なりの誠実さがよく判る。
彼女が決して裕福でないのは察していたし、きっと限られた予算内で一生懸命もてなそうとしてくれているのだろう。私のアレルギーをきちんと考えてくれていることにも胸を打たれた。
「そうですね……あなたが私のことを考えて、一生懸命作って下さった。それだけで私には何よりも勝るごちそうです」
「へ?」
雪菜は何を言われたのかわからない、というきょとんとした顔をしている。何だか可笑しくて笑いそうになるが、真面目な顔を取り繕い礼を述べた。
「ありがとうございます、私の為にこれだけ用意して下さって」
余所行きではない、心の底からの嬉しさを笑顔に替えて雪菜に向ければ。何故か彼女はたちまち耳まで赤く染まる。あわあわ、と口をぱくぱくさせたあと、フイッとそっぽを向いた。
「わ……わかればいいんだ! あんただってちゃんと礼が言えるようになったなら、あたしの教育が効いたんだな。うん!」
それでもその顔は反則だ、だとか彼女がぶつぶつ言う意味がわからなかったが。和やかな空気で食事を進められた。



