「この前のはどうなんだ? ほら、ラムネとかサイダーだよ」
ペットボトルがズラリと並ぶ飲料売り場で、雪菜は炭酸飲料を指差しながら訊ねてきた。
そういえば、と私は思い出す。前回の来日時に雪菜と過ごした時、飲んだラムネが妙に懐かしく美味しかったことを。
「……ラムネも……悪くはないな」
「よっしゃ、ラムネだな! じゃああたしもな」
妙に浮き立った様子で雪菜は二本のペットボトルをかごに入れた。飲料売り場に隣接する酒類売り場で、近ごろ入荷したというテーブルワインを見つけた。たしか、この銘柄だと飲みやすかったはず。 サーモンを使った料理なら合うだろう。
「あ、こらこら! 余計なもん買うなよ。予算オーバーだぞ」
雪菜が腰に手を当てて戻せ、とゼスチャーするが。私はにっこりと笑い決して手放さない。
「私が購入します。ランチへ招待して下さるお礼ですよ。そう高いものでもないですから、気になさらないでください」
「……って言ってもな。あたし、生まれてこの方酒なんざ飲んだことないんだよ」
いつも元気な雪菜だが、それは小声でぼそぼそと。妙に自信なさげに見えた。
「あたしさ……飲みに誘われたりしたことないんだ! 自分で飲むのもなんだし……うん、楽しみだな!」
急に明るい笑顔を向けてわざとらしいほどに喜ぶ彼女。空元気というのはすぐに見抜けた。
きっと、傷だらけな自分を悟られまいと必死に振る舞っているんだろう。胸が痛み彼女の孤独を癒したい……と。そう願うようになった。



