Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編




そういえばそうだった、と思い出す。雪菜は見事なまでに清廉潔白な性格だったと。


金銭が絡むことを誰よりも厭い、身の丈に合った小さなしあわせで満足できる。そんな彼女に自分から愚かさを再び晒してしまった。恥ずかしいことこの上ないが、汚名返上のチャンスはまだ残されているはず。


若干痺れを残す足を我慢しつつ、何とか立ち上がり雪菜に向けてこう問いかけた。


「あなたを不愉快にさせてしまい、心の底から申し訳なく思います。ですから、わたくしに何が足りないか教えて頂けますでしょうか?」


なるべく誠実にと心がけながら、雪菜に向けて真面目に訊ねる。異国の人間であり生活環境も違う私では、彼女と同じ視点でものが見れない。それはとても悲しいこと。だから、私は私なりに彼女を理解したいと己の足りないものを学ぶつもりでそう話した。


ともに生きると決めた以上、相手と同じ視点と同じ考えを経験せねばわからないこともある。相手を理解し知るためなら、私は努力を惜しまない。


「な……な、なんだよ藪から棒に!」


雪菜が妙なことを口走るが、ヤブカラボウにとは何だろう? やぶとは草むらで理解できるが、ボウは棒?いや、草むらから棒が出ても私なら驚かない。ならば英語のBow(弓)? 草むらから弓が出れば、確かに驚く。というか命の危機ということか。


まさか……雪菜まで狙われた!?


シュトラウスの残党の報復か!?


さぁっと自分の血の気が引いていく音を確かに聞いた。