Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編




『シュトラウス公爵の件で、か?』

『はい。まだ処理する件が残っていると日本の警察から連絡が入りまして』


その話を持ち出したのは公務の合間。カイ王子の休憩中に。


今のカイ王子はあの女を迎える為に精力的に働いておられる。宮廷改革も順調に進んでおり、むやみやたらに増えた宮中の役どころを整理し、費用を削減し始めたところだ。


日本で言う天下りのようなものが、ヴァルヌスでは宮中の役どころとなる。さして必要ない細かな役割に勿体ぶった役職名を付けて高額な恩給を与えるのだ。主に引退し爵位を後継者に譲ったご老人方の年金のようなものだが、それにしては必要以上の報酬と恩恵を与えすぎている。過去の国王陛下が乱発し過ぎたそれらを、ようやく半分にまで減らせたのだ。 今私が宮中を離れてもさしたる問題にはならないだろう。


『そろそろ宮中改革も落ち着きつつありますし、日本での役割を終えたらついでに桃花様の様子も窺ってまいりましょう』

『……仕方ない。許可を出そう。代わりにはフリッツを充てるが問題はないな?』

『構いません。彼ならば心配要らないでしょう』


カイ王子に仕える侍従の中で一番長く仕え、事実上私の片腕とも言えるフリッツならば、何の問題もなく安心して代理を任せられる。多少落ち着きない部分はあるが、今回の経験で更に成長が望めるだろう。


(もしも私がカイ王子のお側を辞す事態となれば……フリッツにはもっと成長してもらわねば)


カイ王子の許可を得た私は、早速翌日日本へ向けて旅立った。