かわいそう?
何の根拠を持って私がかわいそうという評価を受けねばならないのか、まったくもって理解不能だ。
声の感じからすると二十代後半らしき女は、おそらくこの部屋の主なのだろうと推測できる。こちらを救助してくれたことに謝意を表したいが、先ほどの不愉快な発言は到底許しがたい。
ひと言言おうと毛玉を手のひらで押し退けて上半身を起こせば、なぜか手が伸びてきて胸元を強く押された。油断していたゆえに、再び背中がベッドに沈み込む。
「だから、寝てなって言ってるだろ! まだ顔色そんなに悪いクセに無理すんなって」
女にしてはさばけた言葉遣いだが、と視線を動かし間近にやって来た彼女を見遣る。
見えたのはぼさぼさであちこち跳ねた茶色いクセっ毛。日に焼けてそばかすがある丸っこい顔。お世辞にも美人と言えない、中肉中背の女がそこにいた。
洗いざらしのロゴが入ったブルーのシャツに、あちこちが擦りきれたようなジーンズを穿いてる。顔もほとんど化粧っけがなく、一瞬年齢や性別や国籍が不明な印象を受けた。
唯一印象的だったのは、茶色い瞳だ。それだけぱっちりと大きい奥二重で、こちらをまっすぐに見る眼差しに強い何かを感じさせた。



