彼女との出逢いは、花が咲く季節だった。
(こんなものか……)
元公爵であるシュトラウスが日本で行なった犯罪に関してと、主人であるカイ殿下の雑務のために来日したのが春も盛りの4月だった。
大使館と外務省と警察庁を往復する日々。滞在日数はギリギリで分刻みのスケジュールが組まれ、息をつく暇もなく食事もまともに取れない。それでも自分の義務だ、と寝食を惜しみ仕事に励んだ。
カイ殿下は私がいなければすぐにだれるので、手綱を緩めぬためにヤヨイ妃殿下に監視をお願いしてある。母上の目があればさしものカイ殿下も、真面目に働かざるを得ないだろう。
(まったく……女のためにどれだけ時間を無駄にされるおつもりか)
カイ殿下がシュトラウスを放逐出来るほど努力したのも、全ては最愛の女のためらしいが。 私には全く理解し難い心情だった。
女……異性など、煩わしいだけの存在だ。媚びを売り大した苦労もなくただ消費するだけ。何も生まず、無駄に時間を過ごして無意味な価値しかない。
唯一の存在意義が、子どもを生むことだけ。
とはいえ私は子どもなど持つつもりは微塵たりともないゆえに、女性という存在は不要なものに該当する。
カイ殿下のように唯一の跡継ぎで血を残す使命があるならいざ知らず、私には2人の兄と3人の姉がいる。それだけに、嫡男でもない私がわざわざ妻を持ち子を為す必要など欠片もなかったのだ。



