「ううん……違うよ。むしろ、カイに辛い思いをさせたんじゃないかって心配してたの。
だって……私の中では……あの日のことは、幸せな思い出だったから」


だって、あなたと出逢えたから――。


ふわりと柔らかく微笑んだ桃花の笑顔に、私のすべてがほどけてあたたかく包まれる。





たった3つの子どもの心に刻まれた、白い色のなかの鮮やかな赤い実。

それが、あなたを忘れさせないのだとあなたは気づいていてくれた――。




お互いの重なった手のひらにある3つの赤い実。


きっと、それは。永遠を約束する雪うさぎのプレゼント――。




【終】