「カイッ……!」
桃花の目から絶え間なく涙があふれ、彼女ら私の胸に飛び込んでた。ギュッとしがみつき、嗚咽を漏らしながら必死に言葉を紡ぐ。
「あ……会いたかった」
「うん……」
「ずっと……ずっと不安だったの。ヴァルヌスに来ても……全然つてがなくて、会える保証もなくて……近くにいるのに……もしかしたら一生会えないかも……って」
「……そうだな。おまえはよく頑張った。だから、オレはおまえに会いにきた」
私は桃花を落ち着かせるために、ゆっくりゆっくりと髪を撫でる。やがて彼女が落ち着いてくると、張りつめた緊張を感じた。
桃花は何かを決意をしたように、涙を拭うと向き合う形でまっすぐに私を見てきた。
「わたし……私は……あの雪の日、初めて見たあなたを“ちっちゃい王子様”って思ったんです。
最初は、印象的なその瞳が気になって……それで。あなたに興味を持ちました」
そうだな、私もあなたの赤い実と笑顔が印象的だった。
「……でも、あなたを知る度にどんどん惹かれていきました。あなたの言葉で、私は変われた。あなたがいてくれたから……ここまでこれました」
私もだ。ヴァルヌスを変えることができたのは、あなたがいたから。あなたの存在が何よりの励ましとなり、力となって私を支えてくれたのだ。
そして、緊張が最高に達した瞬間――桃花はやっと素直になってくれた。
「カイ王子……私は、あなたが……好きです」
――ああ、私もだ。
やっと、嘘つきなあなたからその言葉を聞けたのだ。
人生で、もっとも喜びに包まれた瞬間だった。



