ここにも手強い敵がいた。
富士美は頼もしい味方ではあるが、同時に敵に回せば恐ろしい。タヌキの力などほぼ国内限定だが、世界的デザイナーであるハナ·フジミの機嫌を損ねれば国内外で影響が出る。
それに、何より。
富士美は桃花を可愛がっている。親子ほど年は離れていないが、年齢差のある姉のように彼女を見守っているのだ。
富士美自身多忙なこともあり独り身ではあるが、本来は寂しがり屋の世話好きだ。だから、身寄りがない桃花を放っては置けなかったのだろう。アパートの契約や就職先の身元保証人も進んで買って出たほどだ。
酔った富士美が“桃花ちゃんはアタシのカワイイ妹だから~”と桃花に絡んでたのも知ってる。
富士美から不合格の烙印を押されれば、桃花とは二度と会えないかもしれない。それほど富士美は桃花に関する決定権を握っている。
(ヘタレのままでは、桃花を任せられないというわけか)
今のままではまだまだ桃花を委ねられない、と断言されたようなものだ。自分では懸命に努力していたつもりだったが、何が足りないのだろう?
「なるべく努力はするが……あなたは一体何を私に求めている?」
「それはヒミツ。宿題にしましょうか。その答えは、次に会った時にあなた自身を見て判断するわ」
富士美は謎めいた笑みで私の質問をかわした。



