富士美が候補とするだけあって、どんなメニューも美味しい。日本の素材をさりげなく使用している点も流石だ。
様々な料理を一通り味わった後、ホストである富士美がやって来た。
「どう? ご堪能いただけたかしら」
「ああ。どれも素晴らしいが、魚のメニューがあれだけ豊富とは予想外だったな」
海に面していない上に山岳が多いヴァルヌスでは、新鮮な魚介類が入手しにくい。湖沼や川でも獲れるには獲れるが、やはり海に比べ漁獲量が落ちる。
今は冷凍や加工の技術が向上しているから、冷凍で鮮度を保ち輸入するケースが大半だが。やはり、獲れたての新鮮さには叶わない。
たまに日本の新鮮な刺身が食べたくなる身には、今日のメニューはまさにぴったりだった。
「うふふ~これはね……桃花ちゃんのアイディアなのよ」
富士美は嬉しそうに微笑む。
「実はね、一部業者に養殖を委託してるの。標高が高い土地だから、全てが上手くいく訳じゃないけど……。魚って脂が少なくて栄養価が高いじゃない。ま、今日お出ししたのは既存の養殖されたお魚だけど。もっと種類を増やして健康的な魚を養殖する方法を模索中なのです」
「桃花が……養殖のアイディアを?」
「そうよ! 私も目から鱗だったわ~天然ものにばっかり拘ってたから、自前で調達するって頭になかったのよ。
そりゃもちろん、天然物が一番なのは違いないけど。最近は世界的に漁獲量が減ってる上に、輸入で冷凍の長距離輸送だとコストがめちゃくちゃかかるじゃない?
それだとどうしても原価に上乗せしなきゃいけないから、リーズナブルなお値段にしにくいし。
なら、どうにかして国内でって話になったのよ。一大市場になれば、輸出の新しい産業にもなるからって」



