前菜は、ジャケットポテトとガーリックブレッドに焼き玉ねぎ、カーフィリィ·チーズ。
ジャケットポテトはじゃがいもを切らずに皮のまま焼いて、バターや副菜を添えて出されるシンプルな料理。
ガーリックブレッドはガーリックパンとほぼ同じ。ガーリックを効かせたバターを塗ったバゲットを焼いたもの。
焼き玉ねぎは塩水で茹でた玉ねぎへ挽き肉等のタネを詰めて焼いた、どちらかといえばあまりレストランでは見ないメニュー。
カーフィリィ·チーズはウェールズ地方では昔から食べられていた代表的なチーズで、古くは山羊や羊の乳で作られていた。熟成度による味わいの違いも楽しめる。
一品一品をお上品に小さな皿で出すのではなく、それらをまとめて大きめの皿に盛り合わせて出された。
それを見たバーク卿は一瞬表情を強張らせ、キツイ目付きで私を睨んできた。
『どうやら、あなたは私を怒らせたいようですな』
『そうですね』
私はあっさりと彼の言葉を肯定し、さらに口の端を上げて見せた。
『このような田舎料理を出されるほど、私を見くびっていらっしゃるとは』
『そうですか?』
今度はバーク卿の言葉を否定も肯定もせずにいた。
『田舎料理とバカにする方がつまらない人間ではありませんか、バーク卿?
子どもの頃から慣れ親しんだ郷土料理こそ、その人間の糧となっている。世界のどこでも食べられる味より、そちらの方が遥かに心豊かになれると思いませんか?』



