Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編




ヴァルヌスに帰国する前に、アジア各国への歴訪もある。ヴァルヌスは小国だが、輸出入で成り立ってもいる。自ら積極的に外交に赴き、対話をすることは大切だ。しかし、70近い祖父にそんなご公務をさせるわけにはいかない。


(それに、各国へ顔を売り外交のパイプ役になっておけば、私が正式な王位継承者と認められ易くなるだろう)


王位継承権を認めるのは、国内だけの問題ではない。諸外国の思惑も重要なファクターとなる。


かつて絶対的な皇帝として隆盛を誇っていたハプスブルグ家でも、女帝マリア・テレジア(マリー・アントワネットの母)の時代、彼女のみが後継者となった時。周囲にすんなりと認められたわけではない。諸外国が手のひらを返し、領土を返せと難癖をつけては戦争を仕掛けてきた。

他にも、ハプスブルグ帝国の末期ではあまり顔も名前も知られない皇帝や皇太子では、求心力が落ちて人心をまとめきれなかった。


今は即戦争という時代ではない。けれど、やはり顔を知られておくのは悪くはない。独自の外交ルートを作り上げておけば、わざわざ議会を通さずともできることが増える。


あの老獪なジジイに対抗するには、こんな程度のことなどやれて当然だろう。


一応、主要7ヵ国の言語は留学前から学んでいた。首脳会談の時には通訳をつけずに話すこともできるだろう。通訳をつけると微妙なイントネーションが伝わらず、誤解を招くこともあるからしたくはなかった。


(その時、異国の民間人が妃になるかもしれない、ということは内密に伝えておこう)


内側よりもまずは外堀から埋めていこう。自分を追い込むために、諸外国の確認が得られていれば動きやすくなるだろう。