Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編





珍しく、桃花が自分の想いを話してくれる。それが嬉しくて、彼女の話をたくさん聞いた。


その中で、彼女の寂しさやコンプレックスを垣間見る。妹への本音をぶちまけた後だからか、あまり抵抗なく話せたようだ。


ドイツ語が知りたいか、と誘導してみれば、やはり学びたいとの本音が漏れて、頬が緩むのをおさえられない。それは、私の国に関わることだから知りたいのだと言ってくれているようで。


それでもなお、彼女は諦めを含んだ物言いをする。自分は独りでひっそりと生きていくのだと。


そんな寂しい想いをさせないためにも、ドイツ語を教えながら時折私の国の話をして。たまに彼女を可愛がった。


「アルベルト、ドイツ語の語学教師を手配しておいてくれ。なるべくボランティアに近い廉価で引き受けてくれる、ヴァルヌス出身の者がいい」

『……まったく、あなたの中では彼女を迎え入れるのが既に既定路線なのですか』

「そうだ。ヴァルヌスのドイツ語は少々厄介なイントネーションもあるからな。英語で言うところのクイーンズ·イングリッシュのようなものより、生きたドイツ語を教えられる人がいいだろう」


桃花が眠りに落ちた時間を見計らい、私が帰国した後の彼女のための手配もしておいた。
富士美にはくれぐれも頼むと伝え、身元引き受け人になってもらえる確約をもらう。


『やっぱり、桃花ちゃんはお料理人を志すのね。なら、前から夢だった美と健康のための自然派レストランを開店する準備を、ヴァルヌスでしなきゃ。あ~忙しくなりそうね、私もあなたも』


ちょっと根回しが過ぎるかもしれないが、桃花の夢を応援したい。そんな純粋な思いで後押しをしただけ。


後は、彼女の決意次第なのだから。