「あ、あの……カイ王子……た、食べにくいんですけど」
「ん? 別にいいだろう。おまえはそのままドイツ語が勉強できて、一石二鳥じゃないか」
「で、でも……こ、これ……」
耳まで赤くなってるのはわかりきっていたから、わざと皿にあるポテトをフォークに刺して口元に持っていってやる。
「ほら、口を開けて。素直に食べなきゃ、全部口移しで食べさせるからな」
「……っ、そ、それは」
膝の上に座らせた桃花が、身動ぎをしながらさらに赤くなりうつむいてしまった。バスローブを身につけた程度の格好で、桃花を膝に座らせ彼女の食事の手助けをする。
ドイツ語を学びたそうな彼女のために、と食事と勉強を両立させるためのアイディアだが、どうやら彼女は不満らしい。嫌というわけでもなさそうだが。
ベッドの上で、何かを身につけることを許しただけで最大限の譲歩だ。本当は食事の最中も桃花を可愛がりたかったが、さすがに彼女がもたないと渋々抑えているのに。
「ほら、口を開け。10秒以内に素直にならなきゃ、口移しを始めるぞ」
「……!」
慌てて桃花が口を開き、躊躇いながらフォークを口に入れる。こちらからその様子が見られない(腕で抱えているから)のが残念だが、やっと食べる気になったようで次々と料理を彼女の口に運ぶ。
彼女の体内に入れる料理にさえ焼きもちを妬くというバカみたいな思考にとらわれながら、何とか完食させられたのが二時間後。桃花が息も絶え絶えだったのは、我慢できなくなった私のイタズラが原因だった。



