最初は諌めるように優しくついばみ、それからゆっくりと深いキスへと変えていく。


やはり、柔らかい。桃花はどこもかしこも柔らかくて、あたたかくて。そのまま溶けそうになる。


頭に血が昇ってそのまま貪りたい衝動に耐えながら、桃花の抵抗を封じ込めて何度もキスを繰り返す。徐々に力が抜けていったところで離れれば、彼女はやはり呆然としていた。


「……嫌いなんでしょ? 私を嘘つきって……言ってたくせに。どうして」


やはり、そう考えていたかと心の中で苦笑いをした。あれだけ散々煽ってはキツイ言葉を言われ続ければ、大抵の人間はそういった認識になるだろう。


だが、それはきみを甘やかしたくないオレなりの愛情だったなど。今明かしても白々しいだけだ。嫌われた相手から突然告白されたところで、じゃあ私も!なんて甘いムードになるはずもない。


だから、オレは今あえて同じ態度を貫く。きみの、本当の気持ちを引き出すために。


けれど、桃花が嫌われていたと感じたと知るのは覚悟してはいたが、少々ショックを受けた。お仕置きに、首筋を軽く噛んで痕を着ける。桂木に見せつけてやるためのマーキングだ。彼女はオレのものになったのだ……と知らしめるために。

「……痛ッ」

「そうだな、アンタは嘘つきだ」

オレはバスローブを脱ぐために紐を解きながら、冷たく見えるであろう笑顔で彼女を挑発した。


「どこまでも嘘つきだ、アンタは。自分にさえ、嘘をついてる」


素直に、自分の気持ちを吐き出せ。苦しみの源を知るために。