シャワーを浴び終えて、大きく息を吐いた。いよいよ桃花に、本当の姿を見せる。
彼女が目覚めていることは、微かな物音や気配でとうに気づいていた。
バスローブを身につけバスタオルで軽く頭を拭きながら、バスルームのドアを開く。その音がやけに大きく頭に響いて、桃花が何を言ったのか聞き取れなかった。
驚きのあまりに軽く目を見開いていたものの、彼女は手にしたガラケーをゆっくりと下ろして数度瞬きを繰り返す。それから次第に納得したように落ち着いた色を取り戻す。
桃花の中ではおそらくオレが高宮でないことはほぼ確定しただろう。だが、その瞳は“どうして?”と疑問がいっぱいで、理由までは思い至らないらしい。
「どうして……?」
実際に桃花が疑問を発してきたから、オレは彼女を見たままゆっくり口を開く。
「……アンタも気づいた通りに、これがオレの本当の姿だ」
「染めて……たの?」
「ああ」
その理由はまだ話す気になれなくて、短い返事を返しただけだった。桃花の頭の中は混乱気味だろう。きっとキャパシティオーバーのはず。
オレはそんな混乱にも構わずに、桃花が寝ていたベッドの端に腰を下ろす。彼女の体がピクリと跳ねたが、気にせずバスタオルで髪を拭く。
早く、オレが近くにいることに慣れろ、桃花。オレはもう遠慮などしない。今夜はきみの全てをあばくのだから。



