シャワールームで染めた髪の色を落とし、瞳の色を変えるカラーコンタクトも外す。
“高宮 雅幸”という偽りの仮面を完全に脱ぎ捨て、本来の自分を取り戻す。ヴァルヌス第一王子、カイに。
桃花は、何と言うだろうか。
この時が楽しみでもあり、怖くもあった。だが、避けては通れない。不安で萎みそうな勇気を自ら鼓舞するために、熱く強いシャワーを浴びてまぶたを閉じる。
「大丈夫だ……」
桃花の、本当の気持ちを引き出す。
彼女は自分をごまかして生きてきた。様々なコンプレックスやトラウマにとらわれて、自己評価が低い上に負の感情を扱い慣れていない。
嫉妬や様々なマイナスの感情を吐き出し慣れていないのは、見ていてわかった。きっと、大人になってから自分の本物の感情を剥き出しにした経験がないんだろう。いつもいつも他人を優先するから、自分の本当の気持ちを抑え偽ることに慣れてしまっている。
「だから、オレはきみが嘘つきと呼んだ……」
素直になれ、桃花。
オレはどんなきみだって受けとめる。幼子のように未分化なきみの感情が、どんなものでも構わない。
たとえ、きみが憎しみのあまり誰かを殺したくらいの激しい憎悪を抱こうと。生まれたての本物の脆い感情を、受けとめよう。



