『……そのお言葉に偽りはありませんね?』
「神に誓っても」
考える間もない即答に、しばらくの沈黙が語る。いろいろな思考を巡らすであろうアルベルトが、苦虫を噛み潰したような顔をしていると。
『ご決意が本物であると証明できる期限は1年です。わたくしの父と叔父に働きかけ、議会を抑えていられる限度ですから。それまでに終わらねば、彼女のことはすっぱり忘れていただきます』
「ああ、わかった。必ずそれまでに成し遂げる」
桃花のためにも、そして国の未来のためにも。そう呟いて通話を終えた。
アルベルトがオレの決意をあっさりと承認したのは、彼だとて以前から国内事情に危惧を抱いていたからだ。大臣の父と議長の叔父を持てば、自然と機密や秘密裏な情報に触れる機会は増える。どの国の政治家だとて清廉潔白な者ばかりとは限らない。特別な権力を私利私欲の為に、身内のためにと使う輩は古今東西変わらずにいる。
桃花との婚姻に反発するだろう勢力の先鋒は、まさにその典型的なタイプだろう。今までは証拠を掴めずにいたが、オレでなく桃花を狙った罪は重い。もはや容赦などしてやらない。二度と盛りかえせぬように根こそぎ引き抜いて、徹底的に潰してやる。
オレは知らず知らず、一人で小さく笑っていた。
(オレを演じていた雅幸をバカにしていただろうが、抜け目ないヤツが何も考えずに菓子を食うだけと思ってたのか。だが、あいにくだったな。脱税と粉飾決算の証拠だけでも十分に告発できるが、その程度で満足するか。表に出られないようにしてやるから覚悟しておけ)
やつらをどう追い詰めるか、考えただけでゾクゾクした。



