Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編




桃花のアルコール耐性の無さを考えれば、今まであまり飲酒の機会がなかったと判る。だから、食前酒として甘めのワインをグラスで頼んだ。


(アルコールが入って気が緩んだ彼女を口説こうなんて下心、断じてない。ないからな)


誰に言い訳しているか知らないが、平静さを保とうと自分用にボトルワインを注文した。あまり桃花の前で醜態を晒したくなくて飲まなかったが、きっと赤くなるだろう顔を酔いで誤魔化せるかと余計な配慮をしておく。


あまり一度に話しては桃花も戸惑うだろうし、店内に誰がいるかわからないチェーンのレストラン。ここで真相を話すわけじゃない、落ち着けと叱咤しつつ、ただ静かにワインで喉を潤す。


やはり、緊張のせいか喉が渇いていたと今更ながら知る。桃花も飲みやすい、とワインを口にしてくれて胸を撫で下ろした。


初めてと言えるほど静かで穏やかな時が過ぎる。彼女にはいつもいつも辛辣な言葉を出してきたし、冷淡な態度を取った自覚がある。それだから緊張もされるかと思ったが、案外リラックスした様子で安心した。


やがて、それぞれ注文した料理が運ばれてきたが。桃花はパスタとサラダのみ。予算は気にするなと言ったのに、やはり遠慮して1000円程度に収めてきた。


それでも、美味しいと顔をほころばせる彼女につられてこちらの胸も暖かくなる。きっとオレも笑顔になっているだろう。不思議そうに桃花がオレを見ているが、構わずにそのまま彼女を見返すと、なぜか顔を赤くして慌ててパスタを頬張っていた。


アルコールのせいか? もう酔ったのかもしれないな。


それでも、そんな彼女がかわいくてさらに口元が緩んだだろう。一つ一つの仕草も表情も声も、何もかもがいとおしい。