はっとして目を開けた。


階下で赤ん坊が泣いている。




また変な夢を見た。



最近大地の夢ばかり見る。




時計を見ると7時少し前だった。


まだ早いけどもう眠れそうにない。


ベッドを抜け出し着替えを済ませた。





「よしよし、いい子だねぇ。」

リビングであやねさんがこの前産まれた赤ん坊をあやしている。


ソファでは父が朝食をとっていた。



「……。」


黙って冷蔵庫から牛乳を取り出す。

気づいたあやねさんが振り返った。



「もう起きたの?早いね。」


その赤ん坊に起こされたんだよと言ってやりたかったけど、喋るのも面倒くさい。


一気に牛乳を飲み干して、行ってきますとだけ言った。



「ばいばいして?ばいばーい。ほら。」


こっちを見もしないで赤ん坊に手を振らせている。



幸せそうでいいと思う。

父もあやねさんも、私に暴力なんて振るわない。



ご飯が出ないことくらい、前の家に比べたら全然いい。