また絵美ちゃんが口を開いた。


「渡辺くん、頭は賢いみたいだけどちょっと楽観的よね。
生徒会は冷静に判断できる臨機応変な人。
あんな感じじゃ、生徒会には向いてない。
馬鹿はいらないの。」


厳しい言葉だった。


「......んだよ.......その言い方。」


さすがの俺も黙っちゃいられない。


「お前、何様なんだよ。海斗の何を知ってんだよ。」


「何も知らない。だから客観的に見て、率直な意見を言ってるのよ。」


険悪な雰囲気が流れ、俺の怒りはどんどん膨れ上がった。


「例え、絵美ちゃんでも海斗を悪く言うのは許さない。
ガキの頃からの付き合いだ。海斗のことは俺がよく知ってる。」


「それは真琴くんの思い出でしょ。みんなは昔から渡辺くんと一緒にいたわけじゃないから、知るわけないじゃない。」


結構言うじゃねぇか、こいつ。


確かに俺の思い出であって、みんなは分からないかも知れない。


でも......でもさ.......。


「無理言ってるのは分かってる。
でも、海斗を生徒会に入れてやってくれねぇかな...?
邪魔だったら辞めさせる。」


「.......やだ。」


絵美ちゃんはまだ顔をしかめてる。


どうして、そこまで海斗を否定すんだよ。


そんなに....海斗のこと嫌ってるか?


「どうして、そこまで拒否すんだよ!」


「どうしてって.......あーもう!
どうして分かんないかなぁ!?
ちょっと来て!話あるから。」


絵美ちゃんは俺の手を掴んで、そのまま廊下に出た。


「ちょ、痛い痛い!何だよ、話って。」


「いいから黙ってっ」


絵美ちゃんは後ろに向けていた顔をこちらに向けた。


「.......ぇ?」


耳まで真っ赤な顔が俺のことを睨んでいた。


え、何?


どうしたの?


「私、渡辺くんがいると仕事に集中できないのよっ!」