「.........ってことで生徒会長と付きあうことになりました!」


登校中に昨日あったことを全部、海斗に話した。


海斗は半分聞いていないように見えたが俺は気にせず、のろけ話を続けた。


世界が輝いて見えた。


今までの俺の心には雨が降っていた。


両親が死んだ日以来、雨は止まなかった。


その雨がやっと消えた。


快晴、快晴、快晴。


全て、生徒会長のおかげだ。


「でさぁー........って、海斗~聞いてるかぁ?」


塀の上で寝ていた猫と遊んでいる海斗は大きな欠伸をし、ぐるっとこっちに顔を向けた。


「で?」


「?」


「お前、ちゃんと言ったのか?」


「何を?」


海斗はさっきの欠伸より倍の大きなため息をついた。


「お前が女装男子ってことだよ~」


海斗は再び猫のほうに顔を向けた。


どうして海斗がそんなに興味がなさそうなのか、俺は不思議で仕方なかった。


いつもなら、


「もっと詳しく聞かせろ!」


って言ってくるはずなんだが.....。



しかも、海斗は確か、猫が苦手だったはず。


........何かあったのか?


「あー、女装のことはまた言うよ。で?海斗。何かあったのか?」


「え?いやぁ~、べっつにぃ~。」


男のくせにくねくねしやがって。


海斗を引っ張り、学校に行かず近くの公園に入った。


話を聞こうとしても、ふらふら~っとブランコに乗り、永遠にボーッとしている。


ボーッと空を眺め、ブランコに揺らされている。


いったい、何がどうなったらこうなるんだ?


すると、急に海斗の態度が一変した。


なんと、笑い出したのだ。


しかも、デレデレとしてやがる。


「はぁ、海斗。何があったんだ?」


乗っているブランコの動きを止め、海斗の頬をつねる。


「いててててっ!な、何すんだよ~!」


涙目の海斗は頬をさすりながら、ベンチに移動した。


今日はよく動くなぁ.......。


「で、お前は何をそんなに嬉しそうなんだよ。」


「えーとねぇ、うふふ~」


うっわぁ!


きっもい!!!!!!


何だこいつ.......。


「俺さぁ~、好きな女の子ができたんだぁ。」


だろうな。


にしても、海斗が恋かぁ。


こいつ、普通にモテるけど俺の近くにいるせいで目立ってねぇからなぁ。


「でさぁ、一週間前のことなんだけどなぁ」