真琴が生徒会に入ってから2ヶ月が経とうとした。


もう皆は入試で頭がいっぱいだった。


一部の生徒を除いては。


「真琴~、俺らもう入試だなぁ。勉強してるー?」


「んー、いやぁ、まだ。海斗は?」


「俺も~」


勉強に関しては無縁だった俺と海斗にとって入試なんて眼中にない。


もともと俺たちは成績優秀。


授業は出ないこともあった。


自宅学習なんてやったことはない。


だが、不思議なことに成績は優秀。


「真琴、どこ受けんの?」


「んー、A大学は楽でいいかなーって思ってんだー。」


「そっかー、俺もそこにしよっかなぁー。」


二人は朝から現実的な話をして学校に向かっていた。


「そういえば、今日、女装してねぇんだな。」


海斗は真琴に手渡されたラブレターを読みながら言った。


道の端には雑草と変わらない姿で生えてるタンポポがあった。


何故か目についたタンポポは俺の好奇心をうごめかせた。


「今日はタンポポになろうと思って。」


「はぁ?何いってんだ?」


海斗の顔は(?)記号でいっぱいのように見えたが、俺の鼓動はもう動き始めていた。


昨日、世界一落ち着く便所で俺は誓ったんだ。


『生徒会長に俺は私で、私は俺って言うんだ!』


昔から決めたことは最後までやり遂げていた。


「今日こそ.....!」


毎回、生徒会長の天然で軽く流されてきたが今度こそ.....!


「おはようございますっ」


生徒会が門で挨拶運動をしている。


生徒会長もいる。


「おい、沢谷。サボりか?」


このふれぶてしい声は.....。


やっぱり...熊田か....。


熊田が俺のところにわざわざ歩みよりいってきた。


「幸には今日、沢谷は休みと伝えておいた。感謝しろ。」


「へいへーい。」


熊田を通りすぎると、可愛い笑顔を振りまく生徒会長がいた。


「おはようございますっ」


「お、おはようございますっ」


緊張してしまってそそくさと校舎に入ってしまった俺。


生徒会長の顔も見ずに走った。


女の姿だと普通に話せるのになぁ...。


生徒会長の頬が赤く染まっているのに気づいたのは影で見ていた海斗だけかもしれない。