「ふぁぁぁ.....」


いつもの生徒会会議で大きな欠伸をする。


「色気のない欠伸だな。女ならもう少し可愛くしたらどうなんだ?」


熊田がバカにしたような言い方をする。


律儀に男ってのは隠してくれているようだが、なんだかそれを罠にしているみたいだ。


これで生徒会で俺の正体を知らないのは生徒会長だけになった。


平田絵美と横田梨砂は俺のことを最初から知っていると言っていたし、俺もこの学校じゃ有名だし。


むしろ、知らない方が珍しいぐらいだ。


でも、おかしいな........。


生徒会長なら生徒全員を把握しているんじゃ.....?


しかも、俺は学年が一緒だし.....。


あれ?なんか矛盾してないか?


「生徒会長ってさ、もしかして転校生だたりする?」


みんなは驚いた顔をした。


特に驚いていたのは生徒会長だった。


変な雰囲気が漂う。


平田絵美が「あちゃぁ~」っと思わず出てしまったというような声を出す。


横田梨砂も焦っているのが分かる。


聞いちゃダメだったのか?


「ゴホン!......沢谷。人には知られたくない過去というものがある。」


熊田は静かな空気の中、珍しく気を使っているようだ。


沈黙が走る。


そして、生徒会長は静かに沈黙を破った。


「みんな、ありがとう。でも、生徒会一員として真琴ちゃんにも言わないといけないよね....。」


息を飲み、生徒会長が話し出すのを待った。


「私、真琴ちゃんの言った通り、今年の春、転校してきたの。高校で転校生っていうのはかなり珍しいでしょ?」


「うん.....」


「高校ってよっぽどの理由がない限り、転校なんてしないの。そう、私ね、前の学校で人を殺したの。」


生徒会長は涙をこぼした。


「人を........殺した.....?」


この文章は普段の生活の中で聞き慣れない。


嘘だろ?


生徒会長に限って...。


生徒会長は静かに話し出した。