……パフン。 わたしの隣に移動した紅さんの腕の中に、すっぽりと包まれてしまった。 「紗良ちゃん……」 泣くわたしを落ち着かせようと、背中を撫でてくれる紅さんの手が心地良い……。 あたたかい。 力強い腕は父とは違う。 だけど、あたたかなのは同じ――……。 「……っつ…………」 優しい紅さんに包まれたわたしは、ただただ、静かに涙し続けた。