「……っん」


いったい何回口移しをしてくれたんだろう。


紅さんの優しい唇と、薔薇の匂いで、もう頭がクラクラする……。



「紗良ちゃんは美しいね」

そっと近づく唇に、また水を運ばれるのかと思って、口を開けたら……。



「………………ん」

口には何も入ってこなくて、口が塞がれた。



…………なに?


なにが起こっているの?




もう、頭が麻痺しすぎて何が起こっているのかさえもわからない。



「わたしの美しい紗良……」



唇が離れると、告げられた言葉はとても優しくて甘い、みぞおちに響く声。


それを最後に、わたしの思考は落ちた……。