力強い腕に抱えられた私の体は、担がれてると思えないほど安定してる。


まったく、重いのにやせ我慢しちゃってさ。


「ありがと」


私がリカコに悪く言われたり、腕を掴まれただけで怒ったこの人。


なんかよくわからないけど


私が明日翔わ総長としてしか見ない彼女達にイラついたのと同じ気持ちなのかもしれない。


私の言葉にピクリと反応した明日翔は、何事もなかったかのように歩き続けた。


表情は(抱えられているから!)見ることができなかったけど。


たぶんもう怒ってないし、私の気持ちも伝わっているはず。


「やっぱ髪、ふわふわ。」

「黙れって言ってんだろ。」

そういった明日翔に、密かに肩を震わせたのだった。