明日を翔ける〜天翔〜




歩くこと20分。


結局アパートまで送ってくれた明日翔は、すぐに帰っていった。


「あ、パーカー返し忘れちゃった。」


追いかけようにも、もう闇に溶けて姿が見えなくなってしまった。


学校同じだし、明日返せばいっか。


帰り道着とけ、と言われた真っ黒なパーカーは私には大きすぎて、すこしいい香りがする。


…優しいじゃん、蒼井明日翔。


そりゃもてるだろう。

知り合ったばかりの私にここまでしてくれるような人だ。


大きくて柔らかいパーカーを無意識に抱きしめた私の考えが間違っていたとわかるのは、翌日のことだった。