その問いに答えたのは、茶髪の男だった。 「そうだよ、おそらくその頭の傷の原因となった衝撃で……記憶が抜けてるんだ。」 「…そう。 私が覚えてるのは、こっちに引っ越してきたばかりの頃、までかな。」 どれだけ思考を巡らせても、だめだった。 新居の掃除をしていた辺りから、ぼんやりともやがかかったようになるのだ。 …もどかしくて、こんなに心配してくれるのに何もわからないのが申し訳なくて。