乱れた制服姿で静かに現れたのは
天翔総長 蒼井明日翔
その人だった。
「あす……か…」
その声に弾かれたように顔を上げた真白は、初めていまいましげに舌打ちをした。
「そこの君…姫さん動かんように持っててや。」
近くにいた手下の男に体をがっちりホールドされたのを確認して、真白は明日翔の正面に立った。
「…おはやいご登場さすがやねぇ、明日翔さん。」
「天津…、てめぇ。」
パラパラとわざとらしく手を叩く真白に、明日翔は無表情だった。
…見たことない。
こんなに、こんなに何もない明日翔を見るのは初めてだった。
そしてこれが、総長の顔なんだと、初めて知った。


