明日を翔ける〜天翔〜



雑誌コーナーには、蛇ピアスの男はいなくなっていた。


「ごめんなさい、ごめんなさいっ。」


店を出る瞬間、悲壮感漂う彼女の声を聞いたとともに。


「大人しくしろ。」

「……っ!!!」

予想通りだった。

「やめ…っ、はなして!」

騒ぎに気づいた先ほどの店員は、目を見開いてこちらをみている。


きっと、あれは明日翔に渡るーー。


口元に布を当てられた私は、朦朧とする意識の中、最後のメッセージを防犯カメラに向かって残した。


…絶対に、助けに来てよね。


崩れるように力を失った私は、目をゆっくりと閉じた。


『ほな、おやすみ。無力な姫さん。』