「それで、なんで泣いてるの?」 由衣夏さんは、手に箱をもったままふるふると震えていた。 その手はみてわかるほど痛々しく手当が施されていて、チョコレート作りにいかに苦戦したか物語っていた。 健気で、かわいいじゃない。 いい気分は確かにしないけど、健気で小さな少女に不思議と嫌な気はしなかった。 「渡さないの?」 「…っ、だって!」 きゅっと箱を持つ手に力を込めた傷ついた小さな手に、私はそっと手を重ねた。 「……!?」 びくりとする由衣夏さんに、小動物みたいだ、と思いつつ口を開いた。