明日を翔ける〜天翔〜




そんなくだらないことを本気で考えていると、トン、という軽い衝撃とともに、爽やかなミントの香りが香った。


もちろん知らない香りだが。


「ゆかりかぁ、あっくんにはもったいない綺麗な子だねぇ。」


回された腕に抱きしめられていると悟った瞬間、ピシリと固まった。


そっと首を持ち上げると、茶色くふわふわの髪が頬をかすめた。


すんごく見覚えのあるような、ないような。


目の前の男を凝視して、抱きしめられていることも忘れてうなっていると、バンッと扉が音を立てて開かれた。


「兄貴…、その汚い手を離せ。」


泣く子も黙る低い声が響いた瞬間、すごい力で引き寄せられた私はポス、と甘い香りとしっかりとした腕に閉じ込められた。