「11月の頭、いつものように宗一郎さんはやってきて、いつもの食堂で飯食って。
もうすぐ結婚記念日なんだって自慢して笑ってた。
それから、珍しく真面目な顔して言ってたんだ。
『高校を卒業したら絶対に大学に行って、真っ当に生きろ。
そしたら娘に会わせてやるから。
ただし泣かせたらぶん殴る。
…それと、息子が傷ついたら悲しいだろう、トップになっても命を張るな。』
俺はまだガキで、なにも言えなかった。
感謝の言葉も、俺も、父親みたいに思ってるって。
それからどれだけ待っても宗一郎さんは顔を見せなかった。
連絡しても繋がらなかった。」


