「お父さん、お母さん…ありがとう。
……大好き、大好き…」
二つのベッドに挟まれて、私はそう言って笑ったんだ。
涙よりも、最後に話させてくれたどこかにいる神様。
呼吸が荒くなってきた2人は…弱々しく腕を持ち上げた。
私はそっと握って暖かさを噛み締めたの。
忘れないように、忘れないように…。
2人を心配させないように、涙はぐっと堪えて。
「母さん、ゆかり…愛してる。」
「あら、私もよ?」
そう言ってどちらともなく。
荒かった呼吸は次第にゆっくりになっていって。
「お父さんっ…お母さんっ…」
無機質な空間に、ベッドサイドモニターのまばらだった同じ音程が、一直線になって鳴り響いた。
どんなに握っても、2人の手は握り返してくれることはなかったんだ…。


