あの子が笑えますように

あの子が、微笑む。

柔らかくて優しくて・・・温かな微笑。




「私は、そう思う」







兄貴は、真っ直ぐにあの子と視線を交わした。


あの子が、そっと、兄貴の手を握る。











「・・・ありがとう。

私と付き合ってくれて、ありがとう。


私は洋介君のたった1人の彼女にはなれなかったけど・・・

そういう子、見つけてね?


洋介君が、その子しか見れないような子。

ちゃんとちゃんと、見つけて、大事にしてね?」




泣きそうな顔で、へにゃりと笑ったあの子は、そっと兄貴の手を離した。







「バイバイ」




呆然としている兄貴と、ただ黙って傍観していたオンナを残して、あの子は駆け出した。


一度も、振り返らずに。