あの子が笑えますように

――殴って終わりにすればいいのに。



俺はそう思ったけど、あの子の出した答えはそうじゃなかった。





違うんだ。



捨てるか、思い出にしてもっているか。

それは人それぞれなんだ。





そしてたぶん彼女は――




「だからね、たぶん。

私はそういう思いが消えないから、不思議と今も洋介君のこと好きなんじゃないかなって、思う」





――思い出にして、もってるんだ。


いや、もしかしたらまだ思い出にできてはいないのかもしれない。



けど、もってることにしたんだ。

捨てないでいることにしたんだ。


兄貴への恋心とか、思い出とか・・・そういうの。






「だからね、洋介君。

お願い。ちゃんと1人の人と真剣に付き合って?」



真っ直ぐに見つめる瞳。

凛とした澄んだ声。