博士と秘書のやさしい恋の始め方


《マドモアゼルさんから村へのお誘いがきています。》

「これって……」

マドモアゼルというのは沖野先生のユーザー名。

ちなみに、村の名前はムッシュムラ村というらしい……。

「マダムのくせにっていう突っ込みはナシだからねー。アタシの友達帳に田中クンがいるからさ。山下さんも遊びに行ってあげなよ」

「えっ。で、でも……」

私なんかが入っていって迷惑ではないだろうか。

プライベートといえばプライベートだもん。

リアルの知り合いにはブログを見られたくない心理みたいな? 

そういうの、田中先生にもあるんじゃないかなって……。

「このゲームけっこう楽しいわよぉ~。興味、ない?」

躊躇する私を見て、沖野先生がニヤリと笑う。

興味というのは、ゲームに対する興味だけでない。

田中先生のプライベートをのぞいてみたくはないのか、と……。

そう問われているのは明白だった。

「興味、あります……」

なんだろう、この後ろめたさは……。

必ずしも悪いことをしているわけじゃないはずなのに。

沖野先生の悪魔の囁きに(失礼な……)転んでしまったような。

けど、田中先生のプライベートって……すごく気になる。

私が知らない先生の日常、私生活……すごく知りたい。

この欲求に私はとても抗うことができなかった。