博士と秘書のやさしい恋の始め方

じゃあ、さっき猫を見てじっとしていたのは――猫がいなくなっちゃうのが名残惜しいからではなく、警戒してのこと? 

「ここにいてね♪」オーラではなく「こっち来んなよ!」オーラを出していたってこと?
 
「それは、大変ですね……」

うーん、絶対に猫好きだと思ったんだけど。

「それほどひどくはないんですが。でも、やはり少し大変です」

「ですよね」

「猫好きなので」

「え?」

今、なんて?

「猫が好きなのに猫アレルギーというのは、大変です」

やっぱり、猫好きだったんだ。

私の嗅覚は(?)正しかった。

なんだろう……すごく嬉しい。

それにしても、猫アレルギーだなんて。私は心から同情した。

「猫好きさんなのに猫アレルギーだなんて。すごく切ないですよね……」

「切ない……? そうですね、確かに。いつも少し離れた場所から見るしかない」

猫の人はどこかちょっと困ったように気まり悪そうに苦笑した。

その複雑な表情がなんだかおもしろくて、とっても――いいなと思った。