博士と秘書のやさしい恋の始め方

先生との間には、互いに引き寄せあうような感じがある。

「ああ、来るなぁ」とも違うし、「よし、いけるぞ」とも違う。

「どちらが」ではなく「どちらも」という嬉しい安心感がある。

だからこそ、近づきたいという互いの想いが落ち合って、いい塩梅に溶け合って、嬉しさと幸せで満たされる。

私は想いを伝えたくて――ううん、私たちは想いを分かち合いたくて、幾度も角度を変えてはまた唇を重ね、優しくてちょっと情熱的なキスをした。

先生は「わかりづらい」なんて思ったけれど、それはそもそもが大きな間違いだったんだ。

先生と一緒だと、私は――「いつだ、いつだ?」とびくびく身構える必要もないし、「今か、今か?」とタイミングを見計らう必要もないのだから。

求め合う想いがあるから自然に機は熟し、滑らかに時は満ちる。

気負わなくても、飾らなくても大丈夫。

私はただありままで、まっすぐに先生を想ってさえいればいい。心から素直にそう思えた。

「ところで。お姫様抱っこ希望だろうか?」

「え?」

そうか、あれって希望制だったんだ……じゃなくてっっ。

先生、いきなり何を言うかと思えば……。

どうしよう、ちょっと困った。

表情から察するに普通に真面目に言っている気がする。

でも、先生って真剣な顔してしれっと冗談を言ったりもするし。

この場合はなんて返せばいいんだろう? わ、わからない……。

「あのっ……」

「大丈夫。耐荷重量的にはまったく問題ない」

先生、たぶん真剣に言ってる……。

で、私が体重のことを気にして遠慮していると思いこんでいるわけだ。