男ふたりでそんな話をしていると――前衛的なオブジェとやらを見にいった三人が帰ってきた。
「田中クン、ほんっとゴメン。山下さんを駿の我儘につきあわせちゃって」
「俺はぜんぜん……。彼女も楽しかったようですし」
そう言いながら、俺は駿くんとキャッキャと話す楽しそうな彼女を見つめた。
周りが自然となんとかしてくれる、か……。
「また遊びに来いよ。今度は彼女も一緒にさ」
「田中クン、ぜひ山下サンをつれて来てくださいっ」
どうやら駿くんは彼女のことがえらく気に入ったらしい。
子どもながら、なかなか女性を見る目があるじゃないか。ま、渡さないけどな。
それでも会わせてやるくらいならいいだろう、なんて……俺の一存ではなく、彼女の気持ち次第か。
「どうです? 駿くんから誘われてますよ?」
「ありがとうございます。ぜひ、お邪魔させてください」
彼女がにっこり笑って快諾すると、駿くんは大喜び。
目がハートの形になっていたのは、おそらく俺の気のせいではないだろう。
思いがけないライバルの登場だな。もちろん、負けるつもりはないが。
神林さんたちを見送った俺たちは、ようやく少し遅い昼食にありついた。
考えてみると、彼女と食事をするのは初めてだった。ラボではいつも別々だしな。
「あれ? 先生、左利きだったんですか」
「あぁ、これですか」
俺は箸を持っている自分の左手に視線を落とした。
「私、今までぜんぜん気づきませんでした」
「字を書いたりするのは右手なんです。子どもの頃に矯正されて。けど、箸だけはどうにもならなくて」
「そっかぁ、そうだったんですね。お箸は左……」
なんだろう? 心なしか彼女がニコニコしているような。
「左利きがどうかしましたか?」
「えっ。いえいえ、なんでもないですよっ。なんでもないです」
いやいや、なんでもあるだろう、絶対に。
気になる、すごく気になる……。
けれども、問いただすような無粋なことはよしておいた。
無理やり聞きたすというのもおかしな気がしたしな。
一緒にいれば、この謎がとける日もきっとくるだろう。
楽しみは後にとっておこうじゃないか。
そんなことを考えつつ、俺は美味しそうに海鮮丼を食べる彼女の幸せそうな表情に目を細めた。
「田中クン、ほんっとゴメン。山下さんを駿の我儘につきあわせちゃって」
「俺はぜんぜん……。彼女も楽しかったようですし」
そう言いながら、俺は駿くんとキャッキャと話す楽しそうな彼女を見つめた。
周りが自然となんとかしてくれる、か……。
「また遊びに来いよ。今度は彼女も一緒にさ」
「田中クン、ぜひ山下サンをつれて来てくださいっ」
どうやら駿くんは彼女のことがえらく気に入ったらしい。
子どもながら、なかなか女性を見る目があるじゃないか。ま、渡さないけどな。
それでも会わせてやるくらいならいいだろう、なんて……俺の一存ではなく、彼女の気持ち次第か。
「どうです? 駿くんから誘われてますよ?」
「ありがとうございます。ぜひ、お邪魔させてください」
彼女がにっこり笑って快諾すると、駿くんは大喜び。
目がハートの形になっていたのは、おそらく俺の気のせいではないだろう。
思いがけないライバルの登場だな。もちろん、負けるつもりはないが。
神林さんたちを見送った俺たちは、ようやく少し遅い昼食にありついた。
考えてみると、彼女と食事をするのは初めてだった。ラボではいつも別々だしな。
「あれ? 先生、左利きだったんですか」
「あぁ、これですか」
俺は箸を持っている自分の左手に視線を落とした。
「私、今までぜんぜん気づきませんでした」
「字を書いたりするのは右手なんです。子どもの頃に矯正されて。けど、箸だけはどうにもならなくて」
「そっかぁ、そうだったんですね。お箸は左……」
なんだろう? 心なしか彼女がニコニコしているような。
「左利きがどうかしましたか?」
「えっ。いえいえ、なんでもないですよっ。なんでもないです」
いやいや、なんでもあるだろう、絶対に。
気になる、すごく気になる……。
けれども、問いただすような無粋なことはよしておいた。
無理やり聞きたすというのもおかしな気がしたしな。
一緒にいれば、この謎がとける日もきっとくるだろう。
楽しみは後にとっておこうじゃないか。
そんなことを考えつつ、俺は美味しそうに海鮮丼を食べる彼女の幸せそうな表情に目を細めた。



