博士と秘書のやさしい恋の始め方

俺たちのように開館と同時にはりきって入場するような客は案外少なく、それぞれの展示をゆっくり見て楽しむことができた。

ちなみに、展示というのは臓器や器官についてのあれこれなわけだが。

彼女はというと、それはもう真剣かつ大はしゃぎで……。

まさに「現在ノリノリ中」という調子で存分に楽しんでいるようだった。

「先生、そろそろ出口みたいですよ」

「そのようですね」

やや狭い薄暗い通路を抜け出ると案の定。

入り口が入り口なら、出口も出口というべきか。

「ふぅ、無事に脱出ですね」

「いや、脱出というより排――」

「ですから、そのことには触れなくていいんですっ」

人体の旅の終わりは予想通りだった……。

しかしながら、俺たちの旅はまだまだ終わりじゃない。

「行きましょう。少し休憩したらちょうどプラネタリウムの上映時間です」

「えっ、プラネタリウムですか」

「プラネタリウムです」

嬉しそうに驚く彼女の笑顔に、心の中でほくそ笑む。

やはり予めネットで予約しておいて正解だった。

ここのプラネタリウムは割と規模が大きく見ごたえのある企画も多いと聞いたことがあったので、ぜひ一緒に見たいと思ったのだ。

「人体もおもしろいですが、宇宙らしい宇宙もいいでしょう」

「はいっ」

プラネタリウムは満員御礼で、日曜ということもあってか家族づれでいっぱいだった。

とりあえず席についたが上映開始までにはまだ少し時間があった。

「私、最後にプラネタリウムを見たのって小学生のときだと思います」

「俺も、そうかもしれません」