少し肌寒くなった季節になると思い出す。 “アイツの事”を。 少しずつ、緑葉が色をつけ、そして鮮明に山を染めて行く。 夏服から冬服に切り替わる前。 その日も少し寒くて、紺色のカーディガンを羽織っていた。 (……もう、七回忌か) そう、空を仰ぎながら心の中で独白する。 毎日の忙しさに、思い出す事も少なくなって来た。 だけど、決まってこの日はアイツの事を思い出す。 ―――――――――なんて真っ青な空。