「おう。」


あぁ…やっぱり先生の声だ。


先生の声は怖くて聞くとビックリしちゃうけど…でも、誰の声よりも安心するんだ。


「 どしたん? 」


「 顔面ボールしちゃって、前がよく見えません…
職員室まで連れてってほしくて… 」


「なるほど、どれくらい見える? 影とかなら見えるか?」


「 まぁ…なんとか。」

「 そうか。」


先生はおそらく職員室の方向に歩き出した。


手も引っ張ってくれないの?




生徒が困ってんのに…。


カリスマ教師だろー?
助けてよー…。


でも、歩くペースは私のペースに合わせてくれた。


目をつむり、微かにわかる先生の影。


その影を頼り、



先生の3歩後ろを歩いた。