眠り姫

「ジーン、宿戻ろー」

宝石店の端で私の買い物の邪魔にならないように傍観していた仁のところに駆け寄る。

「機嫌いいな?」

「うん。良いもの買えたからー」

「なに買ったんだ?」

抱き上げられた状態で仁の肩に手を乗せて仁の耳に顔を寄せる。

「アスニっていう宝石にラティーンの涙が混ざってたの」

「へぇ…。そりゃいい買い物だ。」

悪戯っぽく笑った仁は足を動かし宝石店を出る。

「でしょー」

ふふふ、とにやける顔を隠すためにポスっと仁の胸に顔を埋めた。
仁の服から香る微かな仁の香りが、私を落ち着かせた。


宿に戻った私は、早速椅子に座ってラティーンの涙を広げる。
世界に充満する魔力を吸収する魔法、神級回復魔法、神級結界魔法、神級解毒魔法をラティーンの涙に付与していく。
ラティーンの涙はその中に秘める魔力が膨大なため、幾つもの神級魔法の付与が可能になり、私の作った魔力吸収魔法で常に大気に混ざる魔力を補給することができる

連続して5回以上魔法が使われなければ壊れることはないだろう。
神級魔法を付与できる魔宝石はそうない上に一度使ってしまえば、魔力を急激に失ったせいで壊れてしまうが、これはそんなことにはならないだろう。


これで確実に仁を守ってくれる。


「ふふ。」


宝石をピアスに加工していく。

仁は高校生だったはずなのにピアスの穴が空いている。
不良だよねー


残りの2つのラティーンの涙は無限空間にしまい、完成したピアスを持って仁のいる寝室に向かう。

今日は沢山動いて集中したから疲れたなぁ。

寝室に入ると仁がベッドに座って剣の手入れをしていた

「ん?寝るのか?」

私に気づいた仁がそう言って剣をアイテムボックスにしまい、手をさしのべた。

「うん。でもその前にこれあげるー」

仁の手をとり、ベッドに上がって仁の耳に触れた。

「ふふ、私と同じ色」

耳につけて、ついでに外れないようにする魔法もかけておく。
ピアスって外れやすいから

私の瞳と同じ色のピアスをつけた仁の耳がなんだか可愛くて耳朶にキスを落としてから少し離れる。
仁は何故か熱の隠った目をして私を見ていた。


「……なんでたまに色っぽくなるんだよ…」

ポツリと呟いて、私を掛け布団の中に埋めた仁は溜め息を吐いて出ていった。
プハッと顔だけ布団から出した私はあれー?と首をかしげる。

今日は添い寝してくれないのー?

まぁ、寝よー

そのまま布団に潜り私は目を閉じた。