私達はあれから大きな問題もなく、旅を続けている
あえて言うならば、私と仁が付き合い初めたと言うところか。
それと、この世界に数多く存在する迷宮の中でも大きい、5大迷宮の一つに潜った仁が帰って来たとき雰囲気が少し変わっていたこと

その頃から仁は性格が変わったように思う。

元々積極的に他人と交流するような人ではなかった。
けれど人を嫌っていたわけでも、敵意があった訳でもない
興味を持った人や、助けを求めてくる人にはそれなりに優しかったし、無償とは言わないが助けたりもしていた。

なのにどうだろう
仁は最近、人を嫌い敵視しているようにも思える。
いや、人、というより私と愛馬のティサ以外の全てか。

助けを求められても無視をするし、私達以外の人に話しかけもしない
私によってくる悪人は容赦なく殺した。

私に近づくも手を出さない相手を殺すことはなかったが、少しでも私に危害を加えるような動向を見せれば一瞬にして消してしまう。

そして仁の口癖が"敵は殺す"だ。
前までは"眠いのか?"だったのに……


迷宮で何かあったのだろう。
仁はものすごく強くなっている
レベルで表すなら9000越えである。

この世界の強い人でも80~100ほど
4桁なんてあり得ないだろう

「まぁ、強い人は好きなんだけどねー…」

ポツリと小さく呟いて久々に寝ている仁の頬を撫でた。

あの迷宮から帰ってきてから仁は私が起きている時の1時間ほどしか眠らない。
しかも3日に1度とかである。


可愛いなぁ
私を逃がさないように抱き締めて眠る仁だが、そんなに心配なら束縛の鎖で私を逃がさないようにすればいいのだ。
それをしないってことは少しは信用されていると思ってもいいのだろうか


それとも…、いつでも自分から私を逃がせるようにだろうか。


「ん…」

ああ、どうやら目が覚めてしまったようだ。