甘い香りと苦い果実。

「……新入生代表、1年A組翠蓮寺 悠香」




今、新入生代表の挨拶をしているのは私



翠蓮寺 悠香(スイレンジ ユウカ)



私が通っている華園学園女子高等学校は、昨年創立100周年を迎えた歴史あるお嬢様学校。



新しい校舎と綺麗で目立つ制服はテレビでも取り上げられる程



やっとクラスで座れた私はため息をついた



「はあ…」



「ごきげんよう、新入生代表でお話ししていた子だよね?」



「ご、ごきげんよう…そうですけど…」



(挨拶がごきげんようなの?!)



「仲良くしようよ!

私は櫻木 羽菜(サクラギ ハナ)!」



「私は、翠蓮寺 悠香です。」



「うん!知ってる!」



(なんだこの子、キャピキャピしてるけどなんか苦手だな〜)



羽菜ちゃんと、話してて思った事はこの学校やばい!って事

どうゆう事かと言うと…

この学校に通ってる子はみんな別荘や高ーい車を持っていて、なんかとにかくすごい!

私には、場違い!って事…





高校生活1日目を終えた私は、気疲れと周りの圧力に押しつぶされてぐったりしながらどうにか家に帰った





「ただいまー」



ソファに座って韓国ドラマを見ているお母さんに どうだった? とか お友達できた? とか言われてるけど





「後で話すからー」





と受け流して2階にある私の部屋に行く為最後の体力を使って階段を上がる



着いたー



ガチャ



「ゆーうーか!」




「なんだ、和樹かー」


私のベットに横たわってスポーツ雑誌を読んでるのは


東山 和樹(とうやま かずき)


和樹は、私の幼馴染で生まれた病院も誕生日も一緒だから親同士が仲良くて何かある度どっちかの家でパーティとかする


















「なんだってなんだよ!てか、制服可愛いねー、お前にはまだまだ似合わないけど」



「うーるーさい!なんで私の家にいるのよ!

私、今日から女子高生なんですけど年頃の女の子の部屋に彼氏でもない人が乗り込まないで下さい!」




「いーだろ、隣の家なんだし。
しかもお前が彼氏とか絶対ないわー。
俺がお前より先に良い女連れて来てお前に見せびらかしてやるわ」



「とか言って、どんなに可愛い子が告白して来てもフってたくせにー」



和樹は、中学の時からバスケが上手くてエース?をやってた(多分…)


そうゆう訳で、女子からモテモテなんだけど…



なぜか一回も彼女を作ったことがない



「俺に合う女がいねーんだよ〜」




「あ!和樹が彼女作らない理由わかった!」




「えっ?なになに?」



和樹はこの時横たわってたベットから急に起き上がりびっくりした顔で私を見た







「きっと和樹は理想が高いんだよ!
だから
彼女出来ないんだよ!」




難しい問題が解けたように私は、人差し指を上に突き出しながら自信満々で答えた







「そーかもねー」







和樹は、ほっとしてもう一度横たわって雑誌を見始めた











和樹の反応が微妙だったのでもう私はもうどうでも良くなった







私は、まだまだ着慣れない新品の制服を脱いで部屋着に着替えた



「つかれたー、着慣れてないからまだ、かたいんだよねー」





「ちょっまっ!
お前さ、さっきまで女子高生とか言って俺の前で普通に着替えるなよ」




「あー、ごめん。癖だわー」





そう言ってさり気なくカーテンを閉めてくれる和樹は、顔がシュッとして背が高くなった…


なんか変な感じ…




「和樹は、いつから学校?」



「明日が入学式、俺の新しい制服姿見たい?かっこいいぞ〜、惚れるなよ〜」




「あー、はいはい。死んでも惚れないから安心してー」




和樹とはこーんなどーでもいい話をよくする。

でも、気を使わないでこんな話を出来る男の人は和樹くらいしかいない



恥ずかしくて和樹には言えないけど






「おばさん、お邪魔しましたー」



「和樹くんお母さんによろしくね」



「はーい、悠香、んじゃまたね」


そう言って、ボールを触りすぎてゴツゴツしてる大きな手が私頭をぽんぽんする



そして笑うと目元がくしゃとなる笑顔で出て行った









(和樹なんか大人になったって言うか…
でも
あの笑顔は変わらないな)






その夜、私はずっと気になっていた事をお母さんに聞いた






「ねえー、なんで私が新入生代表の挨拶したの?」


……





「1番地味そうなのが悠香だったんじゃないの〜?」





少し、沈黙が続いた後にお母さんは顔が引きつったままぎこちない笑顔で答えた








まぁ、いーや


とりあえず明日からがんばろう!






不安と期待が半分半分なまま私は、目を閉じた