「……志帆……たすけ……て……私を……さがし……て……」

 格子の向こう側から、必死に比奈子が手を伸ばす。私も、格子の間につっこんで、比奈子の方へと手を伸ばした。

 ぎゅっと絡み合った指。比奈子の手が、汗でべたべたしているのもわかる。

「……助ける……絶対に、助けるから……!」

 から……から……

 私の声が響くのも、もう気にならなかった。ぎゅっと握り合った手に力をこめる。
 そして――いきなり周囲の景色が歪んだ。

「――比奈子!」

 目が覚めたのは自分の叫び声のせい。

 ベッドに起き上がって、掛布団をぎゅっと握りしめる。

 まだ三月になったばかりですごく寒い時期なのに、全身に汗をかいていた。

「……夢」

 夢だって思えないくらいに臨場感のある夢だった。比奈子が伸ばしてきた手の感触だって、まだ手のひらに残っている。