「はぁぁぁぁぁっ!!」

炎をまとう二本のソードブレイカー。相手の武器に当たるたびに敵の体を焦がすほどの焔がほとばしる。

「こいつ、新人じゃねぇだろ・・・」

客席から聞こえるそんな声に、太陽神をもつ少年は、炎の影でニヤリと笑った。

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リューナから新人戦があることを聞いたのは新人戦2週間前。時間が無いということで、トーマさんから説明を受けた後、ハンネスが訓練に付き合ってくれるらしかった。

「新人戦の時には特殊な魔法がかけられて、体には傷がつかないんだ。ただ、痛覚はちゃんとあるし、負けもあるからな。審判が再起不能だと判断した時点で敗けだ。」
「なるほどー・・・。でも、新人戦って事は今年入った人たちしかいないんですよね?」
「まぁな。見た感じ骨のありそうなやつはお前を抜くと一人二人・・・ってところだな。」
「とりあえず俺が訓練してやる。目指すは優勝。それ以外はあり得ないからな。」

ここまで話してふと疑問が浮かぶ。

「トーマさんやハンスは新人戦どうだったんですか?」
「確かハンスの優勝だったよな?」
「ああ、ギリギリな。」
「あのとき六角鼓が当たってれば勝ったのになぁ」
「ふざけんな、俺がリアルに死ぬから。」
「六角鼓?」
「ん・・・そういえばまだお前はトーマの戦ってる姿を見たこと無かったな。」
「いやハンスのもねぇけど」
「んなこたぁどうでもいい。とりあえず訓練所いくから・・・トーマと御霊はついてこい。リンはリューナを持てるなら来い。」
「酷い!ウチだって行きたい!」
「いやだからリューナを・・・」
「この壺重いんだぞー!」

リューナさんはウンディーネ。体から何から水で出来ている。そのため水瓶の中で生活している。

「俺・・・持とうか?」
「え!いいの!?ありがとー!」
「ごめんなさい。私がウンディーネなばかりに・・・」
「いいよいいよ!っしょっと」

俺は水の入った壺を持って訓練所へ向かった。